救命救急

救急医療は「最後の砦」でしかない

こんにちは、ミッハエルです。普段は救急医をやっています。

ブログを始めます。

ひとりでも多くの人の健康・幸せにつながる情報提供をしたい。

それがこのブログの目的です。

このブログを始めた経緯

  1. 救急医療だけでは人は救えないと感じ始めたため
  2. 防災士としての知識を役立てたい
  3. 救急医として社会に貢献する方法と考えた

この記事はは自分にとっての決意表明でもあります。

こんなことを考えている人もいるんだ。

その程度で読んでください。

①救急医療だけでは人は救えないと感じ始めたため

救急医としてどれだけ頑張っても、すべての患者さんを救えるわけではありません。

病院についたときには蘇生はとても難しい状況となっていることを多く経験します。

診察を始めたときには決着がついてしまっていることが多いのです。

どうすれば一人でも多くの患者さんを救うことができるのか。

病院外での対応が鍵をにぎっていると感じています。

AEDというものを聞いたことがあるかもしれません。

AED(Automated External Defibrillator:自動体外式除細動気)

日本では普及しているものの、使用率が低いといわれています。

AEDをうまく使ったことで助かった患者さんは数多くみてきました。

AEDを使えなかった患者さんはそれ以上にいるはずです。

でも、その時の状況はよくわからないことが多いです。

「AEDを知らなかった」

「AEDの場所がわからなかった」

「頭が真っ白になってしまった」

いろんなことがあると思います。

それは仕方のないことだと思います。

あとになって、

「あのときもっと適切な対応ができていれば」

「あのとき自分がAEDを使えていれば」

などと後悔するようなことがあってはならないと考えています。

大切なひとがいなくなってからでは、後悔してもしきれないでしょう。

「AEDを使ったのにダメなら仕方ない」

そんなことを言うつもりはありません。

せめて、

「最善は尽くした」

そう言えるよう、日頃から準備をしておく必要があるのではないでしょうか。

そして、結果として助かる人が生まれればそれ以上のことはありません。

一人でも多くの人を助けるため、後悔することがないようにするため、

救急医としての経験をもとに、日頃からの取り組みの重要性を広めたいと思います。

②防災士としての知識を役立てたい

災害が起きたときに沢山の患者さんをどうトリアージするのか、どう処置を行うのか。

そんな訓練をよく行っています。

多くの患者さんを同時に処置すること。

これは想像を絶するほど大変なことだと思います。

コロナ禍で病床が逼迫している状況はよくニュースでも取り上げられていました。

この状況では数人の患者さんを受け入れるだけでも病院にとっては災害です。

災害医療とは医療の需要と供給のバランスが崩れた状況での医療を指します。

今でさえ需要と供給のバランスが崩れているのに、さらにバランスが崩れる災害が起きたらどうなるでしょうか。

おそらく最善の医療を受けることはできない状況になると思います。

それではどうすればいいのか。

防災士の講習会で、自助・共助・公助なんて言葉を勉強しました。

近年、「自助」ということが強調されるようになりました。

誰も助けてくれないというわけではなく、助けたくても助けられない場合があるのです。

自分のことは自分で守るしかない。

自分の家族は自分で守らなくてはいけない。

そんな当たり前だけどあまり考えないようなことを真剣に考えなければいけないのです。

災害が起きたら自分も被災するでしょう。人を助けることはできないかもしれません。

それであれば、

災害が起きても大きな怪我をしない、

最低限の健康を守れるための準備をしておく。

防災士の講習を受けて、そんなことを広めていきたいと思うようになりました。

③医師として社会に貢献する方法と考えた

私の考えが正しいかどうかはわかりません。

それでも、ひとりの救急医として自分の経験を社会に還元したいと考えています。

自分ひとりが関わる患者さんの数は限られています。

育てることが出来る後輩の数も限られています。

論文を書いて世界に発信するのが最も医学的な影響力があるでしょう。

でも、それは容易いことではありません。

こうやって考えると、医療者相手の取り組みしか念頭に置いていないことに気づきました。

何のために医療があるのか。

それは医療者のためではないはずです。

「自助」という言葉がありました。

医療における「自助」をサポートするのも医師として立派な仕事だと考えました。

医療者よりも何倍も多くいる、一般の方々にどうやって情報を届けることができるか。

「書籍化」なんて方法もあるかもしれません。

それだと堅苦しい話ししかできなくなってしまうかもしれない。

お金もかからず、読みたい時に読める

そういうものでないと意味がないと考えました。

考えた結果、たどり着いたのがこの”ブログ”という方法でした。

やりたいこと

「最後の砦」で最善の医療を提供する。

それが救急医の本業です。

しかし、

そこにたどり着かないこと=救急疾患を予防する・重篤化させない

よりよい状態でたどり着くこと=早期に適切な蘇生処置を行うこと

この重要性はそこにいるからこそ身に染みてわかることです。

「最後の砦」にたどり着く前にできること。

これを考え、たくさんの人と共有していきたいと思います。